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第21話 何か文句ある?

last update Huling Na-update: 2025-05-30 11:05:06

 なめらかな肌触りと、心地よい温度。

 そして眠くなる催眠術。

「この時の作者の頼庵は――どのような考えで――」

 月曜日、午後イチの現国の授業中である。

 あまり活発ではない俺も、成長期真っ只中の高校生男子である。今日はお昼を結構な量を食べていた。すると襲ってくるのは睡魔という厄介なヤツ。ホントにこいつには勝てないんだよねぇ。のほほんと机に顔を伏せて寝ようとしていた。

『寝るの?』

 目の前にひょっこっと目の上の部分だけが出てきた。

「ぐっ!……」

 目にした瞬間叫びそうになったクチを慌てて両手で押さえる。

「ねぇ~る~の~?」

――このパターンホントやめて欲しい!! ホント心臓に悪いから!!

 いくらカワイイ幽霊? いや生き霊ちゃんでも、いきなりはビックリするんです。それが顔見知りのカレンでもね。

「ま、またお前か」

 周りのクラスメイトも眠気と戦っているらしく、俺の異変に気付いてこちらを気にするヤツはいなかった。

『ま! またって何よ!』

「あぁ~冷めたわぁ~。返せ俺の眠気!」

『はぁ……あなたって……別人ね』

「何言ってるんだ? 俺は俺だよ」

 あきれた顔しながら、さらにギャイギャイと文句を言うカレンと、それに応戦することでその授業は時間が早く過ぎた。そこはちょっと感謝しようかな。

 放課後の再会と、時間と場所を決めたらカレンはさっさと消えていなくなった。しかしアイツ……自由自在な感じで使ってるけどすげぇなぁ。変なところに感心しちゃうけど。

 結局次の授業で寝ちゃう俺でした。

「こんなとこで……結構恥ずかしいもんだな」

 辺りにはまだまばらだが人が行きかっている。有名お嬢様学校がある最寄り駅。それにしても……女の子が多いなぁ……なんかチラチラ見られてる気もするし
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